「ソロモン流」 ニッポンの伝統技守る左官職人 久住有生さん。
1972年淡路島に生まれの39歳。
この方は職人というよりも芸術家ではないでしょうか、そのワザは息を呑むほどに美しい。
鏡のように輝く土壁をはじめてみました。
久住さんは3歳からコテを握り、お父さんに指導を受けてきました。
それが嫌で高校生のころはケーキ屋でアルバイトをし、手先が器用なので直ぐに技術を習得。
その頃、将来の夢はケーキ屋さんになることだったとか。
それを知った父親が20万円を彼に渡し、ヨーロッパに行かせました。
その時みたアントニ・ガウディの「サグラダ・ファミリア」の土の芸術に感動し左官の道を選びました。
お父さんは言いました「ケーキは食べたら無くなるけど、左官の仕事は残る」
それからは淡路島に公房を構え、古きを知り新しきを生み出す左官の仕事を研究してきました。
一切の妥協を許さない仕事ぶりをみていて感動をしてしまいました。
伝統文化財の修復も手がける久住さん、前の職人さよりも良いものを、似せて作るのではなく本物を作りたいと。
久住さんは仕事をする時は普段着のような服装でした、これは服を汚さないように仕事をするのが職人だからだそうです。
言葉通りどの現場でも服は一切よごれていませんでした、計算しつくされた仕事なんですね。
久住さんは「生涯半人前」と思って仕事と向き合っています。
常に新しい事に挑戦し、仕事に慣れない事が大事だと話していました。
土壁の茶室でお茶をたてる時間も大切にしているのだとか。
やはり芸術家だと感じました。
そして若い後輩を育てるために講演も開催、仕事のワザも惜しげもなく披露、そこには彼に憧れる人たちが大勢集まっていました。
おごることなく常に謙虚で、もの静かな方でした。
余談ですが私も家の壁に漆喰を塗った事があります。
ひたすらコテを動かしていると無になれたような気がしました。
久住さんのような賢人の境地には至りませんが、意外と心が落ち着くんですよね。